物言えぬ、動物の為に。

先日、緊急来院されたウサギの話です。

フワフワの毛で隠れていましたが、痩せ細り、到着時には意識も混濁しており、
呼吸も絶え絶えでした。
すぐに呼吸停止、心停止状態になり心肺蘇生を行いましたが、
残念ながら力及びませんでした。

飼い主さんは食事量・飲水量ともに減っているのには気付いていたそうですが、
まさか命に関わる緊急事態とは思いもよらなかったそうです。

この写真は、伸び過ぎて食事困難になった、ウサギの切歯(前歯)です。

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ウサギは、腸内で食べた物を発酵させて栄養を補給する動物です。
食べられない、お腹の調子が悪い・・・が命に直結するのです。

ウサギやハムスターなどの草食動物にとって、歯はとても大事です。
歯並びや嗜好によっては、定期的に歯を切って整える必要のある子もいます。
奥歯は難しくても、前歯は少し唇をめくればその様子を見る事が出来ます。

草食動物は極限まで自分の不調を隠したがります。
おとなしく、飼いやすいと思われがちなウサギですが、
おとなしいからこそ、飼い主さんのこまめな観察が必要かもしれません。

食事の量は?尿は?ウンチは?

物言わぬ動物の為に出来ること・・・。
ぜひ、簡単な物で良いので、飼い方の本を一冊手元に置いて下さい。

何をあげて良いのか、何をあげたらダメなのか、どんな環境が快適なのか・・・。

儚くなって帰る子を見送るのは、とても悲しい事です。
ましてや飼い主さんの心痛は測りしれません。

物言わぬ動物達の為に出来る事・・・
動物病院で出来る事は、ごくわずかです。

今一度、飼い方について確認してみて下さい。