胃捻転症候群

ゴールデンウィークの直前、久し振りに「胃捻転症候群」の子が来院し、緊急手術をしました。
大型犬で多い症候群で、ひと昔前は良く遭遇したものの、近年は中~小型犬がほとんどなので数年振りでした。

「胃捻転症候群」はご飯を食べた直後に興奮して暴れると、ブンブンと独楽(コマ)のように胃がグルンと回って捻れてしまう状態です。

もちろん痛いし苦しいし、長時間捻転していると、血流が滞って内臓が壊死したり、血液再還流障害が起こったりします。
一刻も早く捻転を戻さないと危険です。

来院時は、息も絶え絶えでしたが、幸いな事にレントゲンやエコー検査時に身体を横にしたときに少し戻ったのか、ちょっと楽になったようでした。
手術の準備をする時間が稼げて、安心しました。

手術前には、少し歩ける程度の小康状態になりました。
手術で開腹すると、やはりまだ胃を中心に90度ほど捻れが残っていましたが、内臓の色艶も良く、こちらもひと安心。
位置を戻して、再び捻れないように胃と腹壁を糸で縫い付けることにしました。

・・・が、身体が大きいので、ここからが大変でした。

助手に肋骨を持ち上げてもらい、視野を確保して、何とか腕を入れてチクチク。
地味に辛い体勢で、突き抜けないように、破らないようにと繊細な作業。
身体が大きいので腹膜や皮下組織や皮膚を縫うのも、小型犬や中型犬の数倍!

手術が終わった時には、もう座り込むぐらい疲れはてていました。
幸い経過も良く、無事に退院してくれましたが、「食後すぐに暴れない!」は金言だと身に染みた一件でした。

胃捻転症候群